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パッキン部は強い船尾振動を受けるので、パッキンは相当苛酷な使用条件に耐えなければならない。またパッキンの軸との共回りは海水漏洩に対して致命的であるので、パッキンの寸法は慎重に決める必要がある。このためにはパッキンをやや長い目(パッキン厚さの1/2程度)に切って、正しく切口を合わせ、1本ずつ確実に奥まで押し込み、パッキンの密度の均一化をはかるそしてパッキンの外周側の摩擦を大きくすることおよびパッキン箱の奥の端面部の摩擦を増すための考慮も必要である。パッキン全数を詰め込んだ後、パッキングランド押えを取り付けて強く押し、締め付けボルトにナットをかけて、手でいっぱいに締める。この点を基準点とすれば、ここから〔(そのパッキンの呼び寸法)×(本数)〕の5%程度締め込んだ状態で運転を始め、適当な海水の漏洩量になるようにパッキングランドを増締める。パッキングランドの温度は海水温度プラス30℃までが適当と考えられるので、パッキンの締め過ぎには注意を要する。またパッキンの締め過ぎによるプロペラ軸スリーブの異常摩耗は避けがたい。

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3・23図 グランドパッキン方式の構造

(2)端面シール方式
端面シール装置は3・24図に示すようにゴムの弾性を利用した簡単な構造で、密封摺動材には特殊合成ゴムを使用しているため、シール性が良く、寿命が長くしかもプロペラ軸の複雑な振動にも十分対応できるものである。端面シール装置の構造は固定部分と回転部分に大別され、固定部分はケーシング、特殊合成ゴムのシールリングと摺動するメイテイングリング(固定摺動リング)、緊急用シールから成っており、また回転部分は、プロペラ軸スリーブ上にシールリングがガータースプリングまたはバンドによって取付けられ、プロペラ軸と共に回転する。
シールリングのリップはメイティングリングヘ一定の接触圧で押しつけられており、この接触部が回転側と固定側の摺動面で、海水をシールする重要な部分である。
緊急シールは端面シール装置の使用中、シールリングとメイティングリングとのシール性能が悪くなり、漏水が多くなった時バルブユニットのバルブを開いて、圧縮

 

 

 

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